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今日は岳谷にトライします。
「いつの日にか」と思っていた憧れのコースです。

下降地点がかなり離れている為、下山後の「足」が必要です。野麦集落に「交通の便」などというものを期待することは出来ず、自前の車をデポするしかありません。日帰りといえども山中の行動時間は長く、下山してからも周回にかなりの時間が必要です。
信頼できる仲間とある程度の条件が揃わなければ、
「長く厳しい一日」になることでしょう。
      (それはそれで良いのですが、・・・)

今回は、でき過ぎなくらいに準備が整いました。

・前日に車のデポ完了。

・全員(3人)のstep soul skiへの統一。
  (今回FISCHER - Rebound crown をデビュー
   させましたが、とても扱いやすいものでした。)

・GPS(長い滑降コースに初見でトライする今回は、とても頼りになる武器です。 Osu-Batiに感謝!)
でも、なんでmac対応が無いわけ? まだ言ってる!

・多雪

そして何よりもガチガチの好天。

予想外の事がなければ、何とか成功しそうです。
後は、私が「足手まとい」にならなければ・・・?

map by Osu-Bati
PM.0:50
 剣ヶ峰-高天ヶ原のコル着。
昨日同様、三本滝から位ヶ原を経て登り詰めました。私はここから岳谷に滑り込むつもりでいましたが、「せっかくだから。」と、大日岳のピークからスタートすることになりもうひと頑張りしなければなりません。「足手まといにならぬよう。」と思うのですが、重い身体がいうことをきかず、みるゝ離されてしまいました。今日もまたガマンです。
大日岳ピーク直下が凍っており、異常に緊張する自分を情けなく思いました。
大日岳直下のOsu & Mesu-Bati(大日-剣ヶ峰のコルより)
大日岳頂上よりの剣ヶ峰(3026.3m)とその向こうに穂高の山並み photo by Osu-bati
PM.1:30 大日岳頂上(3014m)着。
何度もこのピークに立っていますが、
とりわけ今日の眺めは綺麗です。
雪がタップリあるせいか、どの山々も白く光っていました。岳谷方面も良く見えていて、これから始まるダウンヒルが素晴らしいものになることを、この好天が約束しています。

何がどうという訳ではないのですが、
やはり「きちんと頂上を踏む」ということは大切なことなのでしょう。
大事な行動をいい加減な体勢のまま始めてはいけないのです。(大げさ)

御嶽が今日も綺麗です。大日頂上のOsu & Mesu-Bati

PM.2:00 岳谷滑降開始。

御嶽を間近に見てダウンヒルのスタートです。二回ほどターンすると一気に角度を増し、35度オーバーの一枚バーンが現われます。ピーカン二日目の今日、南向きのこの斜面は、さすがに「やや重」のコンディション。 フラットで広いため何とかなりますが、ひと息に滑り降りることは相当な脚力の持ち主でなければ無理。古くさい卍フォームの私には「夢のまた夢」。

skier. Mesu-Bati
PM.2:25 2750m小台地着。

スタートのビッグバーンを滑り降り、少し落ち着いてきました。大日岳頂上からも確認出来たのですが、どうも先行者がいたようです。それも日帰りで野麦方面からピストンしたようです。登りは勿論、スキーの腕前も大したものです。彼のシュプールは、コンパスで小さな半円を連続させたように細かく規則正しく、そして私が二回休みを入れなければならなかった距離を、一気に滑り降りていました。すごい人です。今までこんなに綺麗なシュプールを見たことはありません。

skier. Mesu-Bati
謎の先行者は所々に赤旗を刺していました。
ひとりでこのロングコースに挑み、きちんと目印を置いて行動していたり、彼(?)の山に対する誠実さを感じます。

これより私達は、彼のトレースを追いかけることになります。

2750m小台地から振り返る大日岳(左)と剣ヶ峰 photo by Osu-bati
足がパンパンになって立ち止まる度に御嶽が大きく見えています。
その大きさを写真で表現できないのが何とも残念です。

是非岳谷へ見に来て下さい!

Osu-Bati & Mt. ONTAKE
PM. 2:35 2600m小台地着。
skier. Mesubati (2600m小台地) photo by Osubati
素晴らしい斜面は
    マダマダ続きました。

いい角度の広くフラットなピステが、野麦まで続いているような錯覚にとらわれます。たとえば八方尾根リーゼンスラロームが岳谷に在るようなものです。
岳谷がこれほど豪快なコースだとは想像していませんでした。
「一見の価値オオアリです!」

2450m付近 skier. Mesu-Bati

PM.2:50
 2350m(?) Tree Runスタート。
無木立の豪快なスラロームコースはついに終了しました。標高差約700m、1時間弱のダウンヒルでした。この数字の倍のスケールがあったように思います。

ここからの林間滑降は、昨日に比べ木立密度はかなり濃いものでした。そして、誰のものか分かりませんが、スキーのトレースに混じってスノー・シューの足跡も見つけることができました。

見通しは全く利かず、Osu-BatiのGPSが頼りです。足跡はどうやら登山道どおりにトレースされ、岳谷に落ち込まないぐらいの尾根端に沿って続いていました。視界の悪い木立の下りで不安でしたが、「なるほど」と、うなずけるトレースです。

Tree Runスタート。 skier. Mesu-Bati
PM.3:55 1778m標高点着。
1時間ほど煩わしい木立の中をさまよい、
ヒョッコリ小さな広場に飛び出しました。
足下に見覚えのあるグリーンのプラスティックボードを見つけました。
ここは以前MTBで来たところです。
現在地が確認できホッと一安心できました。

そしてこの下に素敵な景色が待っていました。

1778mの道標とOsu & Mesu-Bati
    赤枠内Osu-Bati's picture
photo by Osu-Bati
素晴らしい
   白樺林です。
以前MTBで来た時は、
「こんなところに!」と、驚いたほどです。
大日岳方面(上)と、

    目指す野麦方面

(1700m白樺台地より)

この1700m白樺台地からやや複雑な(?)地形を行くようになります。ゆるい起伏に小さな沢が入ってきました。どこへ滑って行っても行けそうですが、やはり出来るだけ良いところを行きたいものです。細い流れをひとつまたいだ所で先行者のトレースを見つけ、再び私達は導かれました。やはり登山道どおりに行動しています。
PM.4:30 1550m地点スキー終了。

スキーを外すことが寂しくなります。
あの濃密なtree runも今はなごり惜しく、その煩わしさもすっかり忘れてしまいました。

スキーを担ぐと、すぐ下に林道が上がってきていました。この辺りの白樺はその樹液を採取しているのでしょうか、幹に一斗缶が縛り付けられていました。
私達は林道を行くのではなく、このまま登山道を行くことにしました。
少しでも長く山にいたかったのです。
振り返ると、乗鞍がまだ白く輝いています。「あんなところから良く来たものだ・・・」と、しみじみ思います。
1530m付近より振り返り見る乗鞍。 Osu & Mesu-Bati
心地よい疲れにつつまれて、スキーを背にゆっくり下っていきます。
少し道を間違えたようで、最後は身の丈ほどの熊笹ダウンヒルになりました。

       でき過ぎた一日に、これぐらいは御愛敬です。

PM.5:30 野麦集落駐車場着。
デポ車を回収し、
PM.7:30乗鞍の宿に帰着。
フィニッシュは熊笹ダウンヒル skier. Osu & Mesu-Bati
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